前回の記事で、日本で参加できるクイズボウルの大会「IHBB」を紹介いただいた店長さん(@quiztencho)に、歴史クイズの世界大会「IHO」の参戦記を執筆いただきました。
海外のクイズ大会はどのような雰囲気なのでしょうか。それでは、ごらんください。
こんにちは! 店長です。
今年(2018年)7月14日から22日にかけて、ベルリンにて行われたInternational History Olympiad(国際歴史オリンピック)、通称IHOに参加してきました! 二年に一度開かれるこの大会は、世界各国で開催されるIHBB大会で優秀な成績をおさめたプレイヤーに出場権が与えられるもので、早押しクイズ以外にもペーパークイズや歴史にまつわる名所を巡るツアーなど、様々な催しが行われる一大イベントです。この記事で少しでもその雰囲気が伝われば幸いです!
世界中から200人以上の中高生が集まったこの大会では、クイズに限らず様々な歴史に関する催しが行われました。その中でも中核を占めたのはやはりベルリンにまつわる名所のツアーです。ベルリンの壁のイーストサイド・ギャラリーを始め、ブランデンブルク門、ウンターデンリンデンやサンスーシ宮殿も、引率の歴史教師や現地ガイドさんの、ユーモアも交えた歴史の解説は面白いと同時にとても勉強になりました。またドイツ歴史博物館や東ドイツ博物館でも見学する時間が与えられました。一方、ドイツ史を語るには暗い大戦史も外せません。IHOの大会の一部として、犠牲者の遺灰が混ぜ込まれたコンクリートで作られたホロコースト記念碑や、1936年のベルリンオリンピックで使われたスタジアム、さらにはザクセンハウゼン強制収容所も(日本人ガイドさんの説明で!)見学に行きました。この大会では座学だけではなくいわゆる「生きた知識」も多く得ることができました。クイズはもちろん、クイズ以外の事柄にも役立つ勉強が出来たと感じます。
メインイベントのクイズも、多種多様な形式で行われました。初日にはヨーロッパ・南北アメリカ/オセアニア・中東/アフリカ・アジアの4地域の、古代から現代史、また様々な分野をカバーした400問ペーパークイズが出題されました。ペーパークイズは他にもベルリンにまつわる75問ペーパーや、チームメイトと協力してビジュアルや音声、地図など色々な形式の問題に答える「Hexathlon」、また私が金メダルを獲得した種目でもある、その場で与えられた資料をもとに、正確なおかつスピーディーに設問に答える「Research Competition」がありました。日本ではあまり用いられない形式もあり、とても楽しかったです!
もちろん、早押しクイズも様々な問題が様々な形式で出題されました。個人戦のBeeはIHBBと同様の形式で行われ、世界各国の代表が激しい戦いを行いました。Bowlは参加チーム数の都合上三つ巴で、また人数が少ない国別代表は他の国と合同チームを組んで行われ、Varsityの部唯一の日本人であった私はアメリカ・ペンシルバニア州と、アルゼンチン出身のプレイヤーとともに戦いました! 総合的な問題が出題されるBee/Bowl以外にも科学史、時事、大戦史から、ビジュアル問題も交えた美術史、『めざせポケモンマスター』も出題された「ポップ音楽史」イントロクイズまで幅広いジャンルの多種多彩なクイズが行われ、1週間という長期間クイズをし続けたにもかかわらず飽きることはありませんでした! なお、参加はしませんでしたが、他にもゲーム『Civilization』の大会や「歴史シミュレーション」、早押しと卓球(!)を組み合わせた「Table Combined」もあり、どのプレイヤーも毎日目をキラキラと輝かせながらクイズをしていました。
中でも圧巻だったのは、かのフリードリヒ大王が建造し、世界遺産にも登録されているシャルロッテンブルク宮殿で行われたBee/Bowlの決勝戦! トッププレイヤーたちの鋭い押しは見ていて勉強になり、また圧巻でした。
世界各国のトッププレイヤーたちは皆とても深い知識を持ち、また指も早く、レベルの高さを感じました。また、そういったプレイヤーたちとの交流は大変刺激的で、クイズに対する情熱がより一層深まり、視野や見識も広がる貴重な体験となりました。次回の大会は今から二年後の2020年に開催される予定です、皆さんも挑戦してみてはいかがでしょうか?
参考
International History Olympiadの公式サイト。大会の説明以外にも、行われた種目・イベントやその結果が掲示されています!
http://www.historyolympiad.com/
2回にわたりご紹介いただいたIHBB/IHO、いかがでしたでしょうか。
なお2018-2019シーズンのIHBBは、日本では東京大会の開催が決定しているほか、関西大会も計画中とのことです。